13 Jun 2016
しんです。
実は今から数ヶ月ほど前、このブログ宛に電子書籍化のお誘いがありました。「株式会社Links」という電子書籍・アプリ制作会社の宣伝部の方からです。
結果から言うとお断りさせていただいたのですが、ほとぼりが冷めた頃なので私と同じように「突然ブログのお問い合わせに書籍化オファーのメッセージが届くという未経験のことが起こって判断しかねる!」というあなたのために今回私が学んだことを少しお話したいと思います。
目次
飽和している電子書籍出版業界
少し前までネットの世界では電子書籍化ブームでした。紙の本と違い格安で出版できるとあって有名ブロガー達はこぞって電子書籍化してましたね。確かに紙の本のように沢山売れてベストセラーになれば印税収入が見込めますし、本人の権威付けにもなります。
しかもソースは自分のブログ記事ですからリライトでOK。今までコツコツ何百記事も書いてきた人なら十分コンテンツがあるので余裕で書籍化できます。電子書籍は紙の書籍と違いかなり少ない文字数でも出版可能です。紙は通常10万~15万文字、対して電子書籍は15,000~20,000文字でOKです。10分の1近くの量で出せるんですね。この記事で3500文字以上ありますから、5記事分で書籍化できます。笑
こうした背景もあり、一時電子書籍市場は盛り上がりました。ただ今はさほど盛り上がっていないようです。なぜならブログを電子書籍化しても大して儲からないという事が分かってきたからです。
多くのブロガーや情報発信者は自分のコンテンツが書籍化などのちゃんとした形になることに対して悪い気はしないはずです。それどころか本を出せるなんてラッキー!と喜ぶ人が多いのではないでしょうか?
私もこのブログでは主に時間無い会社員によるサイドビジネス、それもブログマネタイズの方法について言及しているのですが、レポートを多く作っているため書籍化には当然興味はありました。だからメッセージを送って頂いた株式会社Linksの担当者様といくつかのメッセージのやりとりをさせていただきました。
その中で学んだことがあります。それはこの電子書籍出版業界はネットビジネス業界と同じで情弱がカモにされるという構図があるということです。もう少し突っ込んでお話しましょう。
通常の書籍出版の流れ
作家さんなんかは印税暮らしが夢ですよね。私も資産が欲しいので印税なんて垂涎ものですがそう簡単なものではないことぐらい分かります。
通常は新聞や雑誌、ブログなどに有益な情報やコラム、小説なんかを連続投稿している作家さんに対して目の肥えた出版業界の人が「あなたの文章をぜひ書籍化させて下さい!費用は全部こちらが持ちます!なんとかご面会の機会を設けてはもらえないでしょうか??」なんてオファーを掛けます。
出版会社としては費用は自社持ちですし選び抜いた小説ですから必死で売り抜きます。魅力的な帯やキャッチコピー、自社の宣伝媒体を使って。この場合作家さん本人のやることは思っているよりも案外少ないですし金銭面でほぼノーリスクです。それだけの創作物を生み出したのですからね。
問題は次のケースです。
怪しい書籍出版の流れ
「本なんか出せたら良いなぁ」と思っている人はともかく、普段からそう思っていない人にもいきなり書籍化のオファーが届くと舞い上がってしまうケースがあります。実は私も今回のお話を受けて少し舞い上がりました。笑
だって本出せたらカッコ良いじゃないですか!箔がつくし。…とまあこのような欲を煽り当てて自費出版の流れにもっていくのが昔からある悪質常套手段です。日本は自費出版詐欺大国と言っても良いぐらい詐欺まがいの話が沢山横行してきました。
上の正常なケースでは出版会社と作家さんは運命共同体どころかオファー掛けた出版会社側が一方的にリスクを背負うのですが、このケースでは作家さんだけがリスクを背負い込むのです。
紙の本は刷るのに非常にお金が掛かります。詐欺では初版500冊で300万とかザラです。これで売れなければ悲惨以外の言葉が浮かびません。そうして多くの人が泣いてきました。
もちろん全ての自費出版会社が悪いわけではありません。正当な会社も多くあります。実際に自費出版から才能を開花させた作家さんもいるようです。
電子書籍のケースはどうか?
電子書籍も基本的には紙の本と同じです。ただ自費出版で出す場合のハードルが非常に低いのが特徴です。そのお手軽さから新手の詐欺話が浮上しているのです。
今はブログやっている人が多くいます。自費出版するのに何百万も掛かる紙の本と比べてKindleなんかの電子書籍ならば数万ほどで出版化が可能です。そしてここに便乗してきているのが「あなたのブログを電子書籍化しませんか?」というオファーです。
もしあなたのブログにこのような話が来たら、まず先に担当者様にこう聞いてみてください。「こちらの出す負担額はいくらになりますか?」と。本当にあなたのブログのコンテンツに価値を見出してくれているのなら、あなたの負担額は本来0のはずです。多額の費用が掛かるのならそれは悪質なケースである場合が多いです。
しかしここで多くの人が誘惑に負けてしまいます。特にブログ使って情報発信している人のビジネスモデルは本人のブランディングにも繋がる電子書籍を含んだビジネススキームと親和性が高いのでよく業者にカモにされます。「ああ、俺も本出せるのか!いいね!」とか「俺のブログも評価されてるってことだな!俺って凄くね?」とか「紙の本よりも安いし印税生活目指していっちょう行っとく!?」とか。こうして本人の射幸心を上手に煽って高い手数料をピンハネする業者が今増殖中です。お気をつけ下さい。
私のケース
私は最初この担当者様のブログを拝見させていただきました。アメブロの個人ブログでしたが、ちょっと、出版業界で働いている方のブログとは思えない感じのブログでした。。。
私のブログだって拙い文章でいつも自信無いですが、私にはこの方のブログから出版という仕事に対する情熱・プロ意識を感じ取ることができなかったのが残念でした。
いや、ブログとしては面白いのですよ?しかし私が堅物なのかも知れませんが、他人の文章を評価する立場にある方ならテキストの持つ力・影響力を知っているはずです。ペンは剣よりも強しですからね。だからこそご自身のコンテンツブログを、これから出版を志す人達の胸を熱くさせるような内容にしていただきたかったです。
まっとうなブログを運営している文才ある人や視点が鋭い人、情熱ある人から出版のオファーを受けるのとそうでない人からオファー受けるのとではこちらの気持ちも変わると思います。
ちなみにこの担当者様に上記の費用の質問をしたところ、あちら様で何か特別なSEO施工を施し書籍のランキング上位を取るというもので、その代わりに一冊に付き手数料198,000円掛かるそうです。印税は50%だそうです。今回はお断りさせていただきました。一冊の価格が数百円の電子書籍では元が取れないかなと思ったからです。
それでも、正直…私は今回声を掛けていただいたこの担当者様には感謝しています。おかげで無縁だと思っていた電子書籍という世界に触れることができたからです。何通かメッセージを交わしたのも何かの縁でしょう。
さらに今回のメッセージのやりとりがあったことを社名まで出して公開しても良いと許可をもらえましたので、この記事に掲載させて頂いております。そういう意味で正々堂々とした会社なんだと思います。最後に「この度は星の数ほどあるビジネスブログから私のブログを見つけてくださって誠にありがとうございました。」とお礼のメッセージを送りました。
電子書籍業界の今後と投資先の見極め
ビジネスブランディングとして電子書籍を出す場合でも自分でやれば済むことです。それを本出して見栄張ろうとか電子書籍で儲けようとか欲があると業者に付け込まれます。今後電子書籍は益々増えていくでしょうし競争は激化するでしょう。そのような市場で果たして無名の私が電子書籍を出したところでどうなるでしょうか?
当然やってみなければ分かりません。ただ、ネットビジネス界では欲深くて他人任せで慌てん坊でよく考えずに「神様仏様~!」と突撃してしまう心構えの人が高額塾に入って何十万も失ってしまうのです。電子書籍業界も同じです。といいますかこの世の全てが同じ構造です。魚釣りでは欲深く我慢できない魚から先に釣られてしまいます。笑
もちろん私も過去に詐欺に遭い何十万も失ったことがありますし、そうした大きな失敗を生かして成功を掴んだ人も多くいますから失敗は悪いことではありません。しかし今回のように電子書籍に200,000円も投入するのなら他の事に投資した方がよほどリターンが大きいでしょう。
あなたの稼いだ大切なお金達はあなたの代わりに黙ってよく働く小さな小人さん達です。変なところに派遣して犬死させないように経営者であるあなたがしっかりと投資先を見極めましょう。最後に一言。
「この世はそんなに甘くない…」
浮かれ話には用心しましょう。